茨城県境町から始まる自動運転バス オンデマンド予約システムのLINEミニアプリ活用事例
このページは、LINE API Use Caseサイト(2026年3月31日に閉鎖)に掲載していた記事を、LINE Developersサイトへ移管したものです。LINEプラットフォームを導入した企業の事例を紹介しています。なお、記事の内容は掲載時点のものです。

BOLDLY株式会社
すべての人々が自由に、安価に、安全に移動できる世の中にしたい。BOLDLYはIoTや自動運転を軸に地域の交通事業者や世界中の車両開発企業と力を合わせて、持続可能な公共交通の社会実装を目指しています。
サービス提供者様の今回のシステム開発への想い
我々の自動運転バスは「横に動くエレベータ」というコンセプトで、狭いエリアを高頻度に低速で循環することで住民の皆さんの利便性を高めるモビリティとして開発を進めています。
一方で境町のように広いエリアに交通空白地が存在する場合、広大なエリア全てを決められた時間で走ることは、コストや効率性の観点から現実的ではありません。
そこで必要なときだけ気軽に呼んで頂けるタクシーのようなサービスを作ろうと考えました。
世の中に「オンデマンド配車」のアプリケーションは多くありましたが、9,200万人(※LINE社調べ LINEアプリ 月間アクティブユーザー 2022年6月末時点)のユーザーをかかえるLINEプラットフォーム上で開発をすることに決めました。スマートフォンに馴染みのない高齢者にとってもLINEが使えるようになれば、バスを予約するだけでなく家族や友達とも気軽に連絡を取ることができます。新しいアプリの使い方を学んでもらうのでなく、普段使っているLINEから自動運転バスを呼び出すことができれば、気軽に外出できるようになると考えています。LINE公式アカウントを「さかいアルマ」というキャラクターの名前にしたのもそのためです。まるで友だちと会話するように自動運転バスを呼べるようになってほしいと思っています。
スクリーンショット

LINEとの連携
LINE公式アカウント導入の決め手
LINEアプリ自体の普及率が高いので、別途専用にアプリを作るよりもユーザー側の導入コストが低いことが理由です。
認証機能についても同様で、LINEを利用しているユーザーであれば、普段利用しているアカウントから、我々のLINE公式アカウントに友だち追加して頂くことで認証ができるので、その点についてもハードルを下げることができました。また開発者目線でも、LIFFやMessaging APIなどのAPIライブラリ関連が充実していることや、LINE Developersコンソールの使いやすさ・機能の充実している点なども、導入のきっかけになりました。
自動運転バスの運用開始決定。遠隔監視システムの価値の明確化を目指す
自動運転バスの予約システムは、令和4年3月に茨城県境町にて実証実験を行いました。
4日間で76人の被験者に予約と乗車を体験いただき、システムや運用の改善項目を洗い出しました。被験者からは「早く日常的に使いたい」「夜の飲み会の送迎に使えそう」といったポジティブな意見を多くいただき、実運用を開始することが決まりました。
自動運転バスが定時運行だけでなく予約運行も可能になることで、両運行をシームレスに管理できる遠隔監視システム「Dispatcher(ディスパッチャー)」の価値が明確になり、自動運転バスの実用化を他の地域に横展開していく上で、強いアピールポイントになると考えています。
LINEからの予約がリアルタイムに反映され、利用者同士のブッキングを排除
LINE APIによってLINEからの予約が、Dispatcherの予約情報にリアルタイムに反映されるようになり、LINEから複数の方が予約しようとした際などにも、既に予約のある時間帯がすぐに反映されるようになりました。
将来的には、定時便の運行していない時間帯を、LINEからのオンデマンド予約ができるようにして有効活用することや、LINEからの予約時に顔情報を登録してもらい、乗車時の本人認証に利用することなどを予定しています。
システムの解説

AWSへ移行して運用面を最適化
既存で運用している内製システムをAWSで運用していたため、LINEからの予約システムのインフラもAWSで実装しています。
初期のプロトタイプではGoogle Apps Scriptなども使っていましたが、本格的にサービスとして開発・運用していくにあたって、既存サービスとアーキテクチャやデータ管理などを共有していくために、インフラ周りは全てAWSへ移行しました。
インフラを移行することで、ビルドのパイプラインなどを既存システムと統合するなど、運用面でも最適化ができています。
クラウドインフラのランニングコスト
DispatcherではAPIでの連携以外にも、車載機器からの映像・音声や、WebSocketでのリアルタイムなテレメトリ情報の送受信など、複数の通信でサービスが成り立っています。
そのため、サービス開発当初からクラウドインフラを用いて、インフラ管理や保守にかかるコストを削減したいという考えが念頭にありました。また、接続する車両の増加に従って各通信量も増大していくことが予想されるため、サービス規模に合わせて容易に増強が行えるクラウドインフラを駆使し、効率的にコントロールを行っています。
LINEに顔情報登録をすることで、乗車時に顔認証する仕組みを検討
乗車時のお客様認証に関してのアップデートを検討しています。
現在は予約時に発行されたIDをドライバーに提示していただくことでバスの乗車ができます。しかし今後自動運転バスにドライバーの役割を持つ人がいなくなることを考えると、このやり方では限界があります。
そこで解決策として現在開発を進めているのが顔認証によるお客様認証です。乗車時のカメラで顔認証することで、予約者本人かを認証する仕組みです。また運用の効率化の面では「相乗り」ができるような予約システムへのアップデートを検討しています。
これからサービスを開発される方に一言
我々のサービスは、車両の予約から乗車認証まで、利用者自身で操作していただく必要がありました。こうしたBtoCのサービスは、顧客とのコミュニケーション方法や、顧客リストの管理などに課題を感じることがあると思います。LINEのプラットフォームではそうした課題に対して、トークを使ったコミュニケーション、友だち登録による顧客管理など様々な機能が提供されています。今回の予約システムでもそういった機能を活用することで、大きな課題を感じることなく開発することができました。ぜひこうしたBtoCサービスを構築するのであれば活用を検討してみてください。